実は、2004年に介入を突然中止する前に、印象深い事柄が起きていた。当時の財務省・日銀は多額の介入にも効果が上がらないことで、本来の自分達のテリトリーとなる東京市場だけではなく、海外市場においても一部邦銀の海外支店(特にニューヨーク)を利用して、介入を続けていた。 そういった状況下のある週末の金曜日の海外市場。 悪い米雇用統計発表直後、ドル売りの流れとなった市場で、NYのインターバンク・ディーラー達が、1ドル111円のレベルを必死に売りに来たが、1銭も111円を割れることはなかった。
全てある邦銀のNY支店が、財務省・日銀の依頼に基づき、売りを吸収するドル買いオペを行なっていたことが原因で、これに憤怒した米銀のチーフ・ディーラーたちが、その後FRBに強いクレームをしたというエピソードが残っている。これをきっかけに、財務省・日銀は2ヶ月後の3月に突然介入の中止宣言を発表した。これはあくまで推測の域だが、どうもこの行為によって、米財務省・FRBが日本の当局に圧力をかけたとしか思えない。 この辺の経緯は、前述の「テロマネーを封鎖せよ」にもオブラートに包まれた記述しかなされていないので断言できないが、本当のきっかけは、「日本の景気回復」にあるとは思われず、何か特別な米国との密約があるとしか考えられない。
そういった事情の現在、特に米サブプライム問題に端を発した金融不安のさなか、事情は2004年とは異なるとしても、米国発の「世界的な大恐慌」の再来の危惧が席巻するときに、どうして政府・日銀が全く行動しないのかは、不思議としか言いようがない。特に今年3月の急速な円高時に、米欧日で「協調介入」が協議されたとの日経新聞の記事もあるぐらいで、既に協調介入のコンセンサスは取れているはずで、現状の混乱した市場環境において、日米欧は、何故協調介入に踏み切らないのか? また協調介入が無理としても、日本サイドだけでも単独の介入に踏み切らないのか? 過去においてあれだけ多額の介入を実施した経緯があるにも関わらず理解が及ばない。
確かに現状の為替市場の環境では、3月のドル安を食い止めるための協調介入とは状況が大きく変化していることは事実だが、90円に迫るドル円相場を鑑みるなら、日本単独での介入は可能と見られる。 その状況でも介入しないとすると、ひょっとしたら未だ2004年の米国との密約が生きているのかもしれない。 1ドル=90円に迫ろうとする来週の相場でも、もし政府・日銀が引き続き音無しの構えを維持するなら、米国との密約説は信憑性を帯びるものと考えられる。
※グローバルインフォ24 「だいまん」氏こと文一雄氏より抜粋